掛軸で魅せる!個性豊かな軸先の選び方
掛軸は、和のインテリアに素晴らしいアイテムですが、その魅力を最大限に引き出すためには、軸先の選び方も重要です。この記事では、軸先が果たす役割や多様な種類について解説し、個性豊かな掛軸を作り上げるための選び方のコツを紹介します。軸先は単なる装飾ではなく、掛軸の印象を大きく左右する要素です。唐木や花梨、塗物、焼物、さらには象牙代用やメッキを用いたものまで、様々な素材の特性を理解することで、より広がるデザインの可能性とコーディネートのポイントが見えてきます。また、作品に合わせたデザインや用途に応じた選び方についても詳しく掘り下げていきます。
掛軸に個性を出す!軸先の役割
軸先とは何か
掛軸は日本の伝統的な芸術作品の一つであり、その美しさや風情を引き立てるために「表具スタイル」をまず選びます。
次に選ぶものは「裂地」と「軸先」です。軸先は、掛軸の下に取り付けられる部分で、ファッションで例えるなら「靴」に当たる部分です。
また軸先部分に風鎮を取り付け、掛軸のバランスを安定させたりもします。風鎮と軸先のバランスや作品の魅力を存分に引き出すためには、
表具スタイルや裂地の他に、軸先の選び方やその特徴を理解することが重要です。
軸先の種類とその特徴
軸先にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる素材やデザインがあります。まず、素材として、安価なプラスチック、仏画に鍍金、南画や墨跡でよく使われる唐木や花梨、塗物は仏画や茶掛けに、神祇で用いられる一位軸などがあります。
プラスチック製の軸先は軽量で扱いやすく、価格も手頃なため展覧会用に作成する安価な軸によく使用されます。次にどんな表具にも裂地にもなじむ木軸はとても人気があります。さらに個性を出す場合は焼物や変形軸などで他とは違う唯一無知な掛軸が作れます。象牙代用や角などの軸先は、神祇仏には用いません。殺生をイメージするからだそうです。
形状に関しても多様です。『頭切』はその名の通り頭をばっさり切ったような長方形のシンプルな形です。シンプルゆえに、汎用性が高いです。『撥軸』はばちのような形をしています。撥も2種類あり、三味線の撥の形から由来している「撥軸」太鼓の枹が由来の「枹軸」があります。渦軸は段巻きとも呼ばれ、品格は一番下になります。茶掛けや官人の書画によく使われます。
最後に、軸先は装飾品としてだけでなく、掛軸全体のデザインとの調和が重要です。作品のテーマや色合いを考慮しつつ、どの角度から見ても美しく見えるような軸先を選ぶことが、作品をより一層引き立てるポイントとなります。このように、掛軸の軸先は単なる部品ではなく、その作品の個性を豊かに表現するための重要な要素なのです。
個性豊かな軸先の選び方
軸先は掛軸の「足元」にあたる部分で、見た目だけでなく、作品との調和や使用目的に対する影響も大きいものです。作品に合わせたデザイン選び、用途に応じた素材選び、コーディネートのポイントに焦点を当てて、個性豊かな軸先を選ぶためのさまざまな視点をご紹介します。
作品に合わせたデザイン選び
まず初めに、掛軸のデザインやテーマに応じた軸先の選択が重要です。美術作品や書道作品など、作品の雰囲気や色調に合わせることで、全体のバランスが保たれます。例えば神道的な表現のある本紙には『面取り』がよく使われます。南画や文人画には『撥軸』、茶掛けには『段巻き』もよく使われます。『頭切』はシンプルゆえに様々なスタイルで用いられます。
軸先の素材もデザインに影響します。象牙代用や角などの軸先は、神祇、仏には用いません。殺生をイメージするからです。また変形軸は風袋のついた格式高い掛軸や茶掛けには使われません。くどくなるからです。一般的には、一位軸や面金が神道系で使われます。仏教系は金軸や木軸(黒)(朱)、水墨画などには桑や角軸、牙軸が使われます。塗物や焼物と種類が豊富な軸先は使ってはいけない場面だけを抑えれば様々にアレンジが可能です。
掛軸の用途に合わせよう!軸先の素材
次に、掛軸の使用用途に応じた軸先の素材の選び方について考えてみましょう。インテリアとして飾る場合や、展覧会など魅せる場面として使う場合、空間の雰囲気に合わせた軸先を選ぶことが必要です。たとえば、和室や和風のインテリアには、自然素材の桑や唐木、花梨、焼物や陶器などの軸先が適しており、落ち着きのある印象を与えます。
逆に、モダンで洗練された空間には、作品を主体にするのであれば目立たない黒や小ぶりの『頭切』。掛軸全体で作品のイメージを作る場合は竹や黒檀紫檀など自然素材の物は作品に馴染みます。また長撥や変形軸などもアジアンテイスト溢れる作品になります。使用目的や設置場所に応じた最適な印象を演出することができます。
軸先は選び方次第で新たな個性を生み出すことができるのです。展覧会で長く飾っていたら傷んでしまったので修復と再表装をご依頼いただく方の中に、表装スタイルと裂地は変えずに、軸先を変えるご注文を頂く事もあります。軸先を変える事で、展覧会から室内の落ち着いたインテリアへ様変わりすることも可能なのです。